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シュワルツェネッガー 作品情報・レビュー

『ラスト・アクション・ヒーロー』スリルあり笑いありのファンタジー・アクション!

『ラスト・アクション・ヒーロー』は、『ターミネーター2』(1991年)の記録的大ヒットによりマネーメイキングスターの頂点に登りつめたシュワルツェネッガーが自ら製作総指揮を務めたファンタジー・アクション大作。監督は『ダイ・ハード』(1988年)『レッド・オクトーバーを追え!』(1990年)のジョン・マクティアン。シュワルツェネッガーとは『プレデター』(1987年)以来2度目のタッグとなる。

アドバンスポスター(左)とオリジナルポスター(右)

主人公は、シュワルツェネッガー主演の劇中劇『ジャック・スレイター』シリーズのアクション・ヒーロー、ジャック・スレイターと、スクリーンのスレーターに憧れるアクション映画ファンの少年ダニー。ある日、親しい老映写技師ニックの計らいで『ジャック・スレイター4』の試写をひとりで鑑賞できることになったダニー。そのときニックから貰ったチケットは、現実世界と映画の中の世界をつなぐ魔法のチケットだった。

『ジャック・スレイター4』のOPテーマはメガデスの『Angry Again』だ!

チケットの半券を手に『ジャック・スレイター4』を観ていたダニーは不思議なチケットの力によって映画の中の世界に吸い込まれる。突然現れた見知らぬ少年に驚くスレイターだが、憧れのアクション映画の世界に入ったダニーは目に映るものすべてに大喜び。

映画の世界のキャラクターたちにダニーも驚くばかり

スレイターと協力し、マフィアを相手に戦いを挑むことになったダニー。ところが、スレイターの命を狙う殺し屋ベネディクトに大事なチケットを奪われてしまい、一味は現実の世界へ飛び出していく。現実世界でスレイター役を演じるシュワルツェネッガーの抹殺を企むベネディクトをスレイターとダニーは止めることができるのか──。

マフィアのボスに雇われスレイターを狙う義眼の殺し屋ベネディクト

主人公たちが映画の世界と現実世界を行き来することで生まれるギャップをアクション、コメディ、パロディ、ファンタジーのエッセンスを交えて描きながら、名作映画の登場人物や有名俳優・ミュージシャンたちが実名で登場するなど小ネタも満載で、まるで映画の宝箱のようなサービス満点の作品だ。

スレイターがいる映画の世界でターミネーターを演じているはスタローンだ!

ダニーが入り込んだ映画の世界は必要以上に誇張され面白おかしく描かれているが、主人公たちが現実世界に入ると雰囲気は一変。前半の設定が効いてふたつの世界の対比が際立って面白い。この入り組んだ特殊な設定もジョン・マクティアンの手にかかれば非常にわかりやすくまとめられ、印象に残る名場面がたくさん用意されているのもさすがといったところ。

ただし、いろいろな要素を詰め込みすぎたせいか、若干どっちつかずで中途半端な印象になってしまったのも否めず、劇場公開当時は『ターミネーター2』の直後だっただけにシュワルツェネッガーに王道的な活躍を期待して肩透かしを食らったファンも多かったようだ。少年ダニーのキャラクターをどう感じるかによっても好みが分かれるところだが、一般的に好意的な評価を得ることができず、興行的にも不振に終わった。決して悪い映画ではないのだが、シュワルツェネッガーのイメージを逆手に取ったやり過ぎとも受け取れるセルフパロディは、当時としては早すぎたのかもしれない。

しかし、このアイデア満載のファンタジー・アクション大作は、その後、多くの根強いファンを獲得し、今ではシュワルツェネッガーの代表作の一つとして上げられるほど。アクションからコメディまでこなすスターとして自らのイメージを集約したスレイター役のみならず、自身が本人役を演じるなど、ある意味シュワルツェネッガー映画の集大成とも言える作品となっている。

脚本家の交代劇

『ラスト・アクション・ヒーロー』の原案は、大学を卒業したばかりの二人の若者、ザック・ペンとアダム・レフがシュワルツェネッガーをイメージして書き上げたもの。これをもとにシュワルツェネッガーは、『リーサル・ウェポン』『ラスト・ボーイスカウト』の人気脚本家であるシェーン・ブラックにリライトを依頼。役者として『プレデター』でシュワルツェネッガーと共演したシェーン・ブラックは、当初この依頼を渋っていたが、脚本仲間のデビッド・アーノットとの共同作業を条件に脚本を引き受けた。

しかし、出来上がった脚本を読んだスタジオとシュワルツェネッガーは、アクション映画としての出来としては満足したものの、スレイターと少年の関係をもっと掘り下げたいという理由から、シェーン・ブラックとデビッド・アーネットを脚本から降ろしてしまう。

その後の書き直しは、『明日に向かって撃て!』『大統領の陰謀』で二度のオスカー脚本賞を獲得した大物ウィリアム・ゴールドマンに依頼。4週間で100万ドルという破格のギャラで口説き落とされたウィリアム・ゴールドマンはノン・クレジットで脚本を完成させた。

シェーン・ブラックとデビッド・アーノット版の脚本には下品でブラックなジョークがたくさん盛り込まれていたが、これをウィリアム・ゴールドマンはごっそり削除。かわりに、スレイターと少年の関係をクローズアップさせ、子供まで楽しめる作品に仕上げた。

『ラスト・アクション・ヒーロー』の興行成績

生々しい暴力描写は極力抑えられ、大人から子供まで楽しめる娯楽大作として、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』、スタローンのアクション大作『クリフハンガー』、トム・クルーズの『ザ・ファーム 法律事務所』らとともに1993年のサマーシーズンの目玉として『ラスト・アクション・ヒーロー』は公開前から大ヒット間違いなしというムードが高まっていた。しかし、いざ公開されてみると興行的にも批評の上でも大惨敗という結果に…。製作費と宣伝費合わせて1億1500万ドル以上使ったといわれる『ラスト・アクション・ヒーロー』は、アメリカ国内で5002万ドル、全世界でも1億3730万ドルの興収にとどまった。

『ラスト・アクション・ヒーロー』オリジナルサウンドトラック

『ラスト・アクション・ヒーロー』オリジナルサウンドトラックには、AC/DC、エアロスミス、メガデス、アリス・イン・チェインズ、デフ・レパード、クイーンズライチ、アンスラックス、テスラなど、ロック界の大物が集結。しかも、提供された楽曲のほとんどが未発表の新曲ということもあり、発売当時には大きな話題を呼んでビルボードチャートで初登場7位という好セールスを記録した。

オリジナルサウンドトラックのアートワーク

『ラスト・アクション・ヒーロー』吹替洋画劇場

日本では吹替版のテレビ放映でも多くのファンを獲得した 『ラスト・アクション・ヒーロー』。フジテレビ『ゴールデン洋画劇場』とテレビ朝日『日曜洋画劇場』の日本語吹替版を完全収録した『吹替洋画劇場 コロンビア映画90周年記念 デラックスエディション』が2015年に発売されると人気を集めた。しかし、現在では残念ながら廃盤となっており、高値で取引されている。

『ラスト・アクション・ヒーロー』作品情報

原題:Last Action Hero
監督:ジョン・マクティアナン
脚本:デヴィッド・アーノット、シェーン・ブラック
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、オースティン・オブライエン、チャールズ・ダンス、アンソニー・クイン、F・マーリー・エイブラハム
音楽:マイケル・ケイメン
全米公開:1993年6月18日
日本公開:1993年8月28日
全米映画ランキング:初登場2位
全米興行収入:5002万ドル
日本配給収入:12億円
全世界興行収入:1億3730万ドル